『店主 修行時代のオハナシ!』
新茶時期は4月、早朝4時から始まります。
仲買人から次々持ち込まれる茶見本で、仕入れを即座に決める大事な仕事が「試飲」。
これは社長の仕事です。
ところがある日、社長が「飲んでみるか?」と試飲させてくれたのです。
私には苦くて渋いばかりで判りません。
社長は茶の香りを嗅ぎ、すすり、次に味の説明をしてくれました。
どうして判るのか? 味の善し悪しはどうやって決めるのか?
「早く一人前になりたい!!」社員からは生意気と言われながら、不要になった僅かな茶見本をもらい、
終業後会社の流しを借りて、味見を繰り返し、おぼろげながらお茶の味が見えてきたようでした。
あの捨てられるはずの茶見本が私の宝でした。